出会いは10年以上前。この雑誌の取材で伺いました。
現会長の早福岩男さんは新潟の地酒を世に広めた人物。
すごい方なのに、誰に対しても常にこの笑顔で迎えてくれます。そしてその横にはいつも澄子お母さんの温かい笑顔があります。最初に取材させていただいたとき、早福さんが扱っている地酒の中で取材拒否の蔵があり、何とか掲載させていただきたいとご相談すると「俺がいいと言ったっていえば大丈夫だ」と。そのときのくったくのない笑顔は今でも印象に残っています。
それは、蔵元とのつながりを大切に商売をしている証でした。
早福酒食品店で扱っているのは、強い信頼関係で結ばれた8つの蔵元の地酒のみ。最初にお聞きした話で今でも忘れられないのは「蔵元の人柄が酒に表れる」ということば。
技術的なことや味的なことではなく、まずこの話をしてくださいました。
そのときは正直ピンとこなかったのですが、その後様々な蔵元の方たちとお話する機会を得て、それを実感しています。じわじわと。まだまだ知るべきこと、勉強すべきことは山ほどありますが……。
そして技術的なお話で印象的だったのは「米を磨けば(削れば)いいというがその磨き方が大切。酒米にとって大事な心白(しんぱく)をちゃんと残して磨いているかどうか」難しい話ではなくいい米のいい部分を使って正直に造っているかどうか。蔵元の良心の部分を伝えるひとつの例だと私は理解しました。
早福岩男さんの酒屋としての思い、生き様はこの本にまとめられています。平成9年に醸造タイムス社から発行されました。編著は谷澤雅視さん
現在、お店は息子さんの豊社長の代となりましたが、お店の奥には元気な会長のお姿が。お店へお邪魔すると澄子お母さんと一緒にいつも変わらぬ笑顔で迎えてくれる“早福のお父さん”。常に新潟の地酒の歴史をふまえて未来を考えたわいもないと思える会話の中にも私たちに大切なヒントを与えてくださいます。それをどんな形で受け継いでいけるのか。自分自身にとって大きなテーマでもあります。そして早福さんが最初にお話してくださった酒かすのコトも。
「酒かすは酒のすっぴん。酒かすを見ればどんな造りをしているのかわかる」
早福酒食品店(そうふくさけしょくひんてん)
新潟市中央区関屋本村町2-305 〒951-8162
℡025-266-8101
営業時間:8:00~20:00 定休日:日曜、祝日 Pあり
アクセス 車:女池ICから約10分
電車:新潟駅からタクシーで約15分。
西小針経由内野行きバスなどで昭和町下車、すぐ。
◎取扱い銘柄 越乃寒梅(石本酒造/新潟市) 鶴の友(樋木酒造/新潟市) 千代の光(千代の光酒造/妙高市)〆張鶴(宮尾酒造/村上市) 久保田(朝日酒造/長岡市) 萬寿鏡(マスカガミ/加茂市)金鶴(加藤酒造店/佐渡市) 緑川(緑川酒造/魚沼市)
オリジナルセット 「越くにの五峰」7000円